2009年の情報のまとめ
【北朝鮮】国連開発計画事業を脱退 制裁への不満背景か(2009/12/2)
【北京共同】 国連開発計画(UNDP)が北朝鮮と中国、ロシアの国境地帯で1990年代初めから経済開発を進めている豆満江(中国名・図們江)開発計画から、北朝鮮が今年に入り脱退していたことが2日分かった。
北京の外交筋やUNDP関係者が明らかにした。
脱退理由は不明だが、北朝鮮は4月の「衛星打ち上げ」を長距離弾道ミサイル発射とみなした国連安全保障理事会の議長声明や、5月の2回目の核実験に対する安保理の制裁決議に反発しており、国連への不満が背景となっている可能性がある。
外交筋の間では、同開発計画は、関係国の利害が交錯、目立った進展がない上、北朝鮮が受け皿として設置した羅先経済特区の整備の不備が伝えられていることも関連しているとの見方もある。
同開発計画にはUNDPの支援で中国、ロシア、北朝鮮、韓国、モンゴルの5ヶ国が参加、日本でも新潟、島根両県などの自治体が関心を寄せている。
(共同通信社 2009年12月2日)
【航路】日本海横断航路 年度内の再開断念(2009/11/25)
新潟県を起点とした「日本海横断航路」の本年度内の営業運航再開が不可能になったことが25日分かった。同航路は9月から運休中で新たな船舶を確保出来なかったことなどが要因。再開は未定。当面、国と連携した実験航海を行い、ノウハウを高めていくことに力点を置く方針だ。
日韓ロと中国による4カ国合弁の同航路は、新潟を中心にロシア・トロイツァ、韓国・束草(ソクチョ)をV字に結ぶ。
6月の営業運航開始後、わずか5往復で休止していた。 日本側代理店を勤める北東アジアフェリージャパンによると、鉄道建設運輸施設整備支援機構(横浜市)が所有する中古船(1万4千トン級)の確保を目指し、夏前から分割払いでの購入を打診し機構側から前向きな感触を得ていたという。 しかし、検査・補修のため、運航再開までに別途必要となる約2億円について県と新潟市に支援を求めたが実らず、資金難から購入を断念した。
一方国土交通省の支援制度を活用し、来春までに社会実験を行なう。 これまでの寄港地である新潟西港に加え、新潟東港にも立ち寄る計画で、同社は「『旅客は西港、貨物は東港』とスムーズに振り分けられるか試したい」という。
世界的な不況下、新潟港だけでは営業ベースに乗るだけの集荷が当面見込めないことから、社会実験では他県港への寄港も模索したい考えだ。 同社の五十嵐純夫社長は「経済界などから多くの期待を掛けていただきながら、円滑に進めず申し訳ない。長期的には有望な航路。早期再開に向け努力したい」と話している。
【モンゴル】図們江輸送回廊モンゴルと中国の鉄道接続ルート(2009/10/13)
中国・モンゴル間でイルシとチョイバルサン間の鉄道接続建設計画が進んでいる。
チョイバルサン近くの石油をトラックで大慶に運び、精製油の半分量をモンゴルに持ち帰っており、鉄道輸送を行なう必然性があるからだ。
陸封国家であるモンゴルとしては、図們江輸送ルートにより将来的に日本海に出て、日本や太平洋諸国との貿易拡大に繋げたい。
日本も輸送インフラ建設や地下資源開発(銅鉱石・ウランなど)にモンゴルへの協力を行なう用意を表明している。
NEANETとしてこの地域にミッションを派遣したいと思っているが、中モ国境のスンベル税関を通過する許可を取るのがまだ困難であるが、
許可が得られれば実現したいと期待している。この地域の状況を参考まで下記に図示する。
【ロシア】東シベリア-太平洋(ESPO)石油パイプライン 中国向け支線着工(2009/9/28)
『ロシアのセチン副首相は27日、東シベリアの石油を太平洋沿岸まで輸送する太平洋パイプラインについて中国国境付近までの第1段階の建設が終わり、
中国向けの支線パイプラインの敷設を開始したと発表した。中国向けの支線は 2010年末までに稼動する見通しだ。副首相は日本への輸出が可能になる
第2段階の敷設が14年に終了する予定であることも明らかにした。
インタファクス通信などによると、中国向けパイプラインの敷設式典が27日中国国境に近いスコボロジノでセチン副首相のほか、ロシアの国営石油輸送会社
トランスネフチや中国石油天然気集団(CNPC)の幹部らが出席して開催された。
東シベリアのタイシェットから同地までの約2、690kmのパイプライン敷設の経費は、約4千200億ルーブル(約1兆2千億円)。 中国には今後20
年にわたって年1千500万トンを輸出する。』 (日本経済新聞 モスクワ 坂井光 2009.4.28)
【中国】長吉図・開発開放先導区=図們江地域協力開発計画を国家戦略として承認(2009/8/30)
1.国家戦略への昇格
2009年8月30日に国務院は『中国図們江地域協力開発計画要領-長吉図(長春・吉林・図們江)を開発開放先導区とする』を国家戦略として批准した。
2.重点業務
(1)インフラ建設 長吉図地域の交通網、水利、エネルギーなどのインフラを立体的でより便利で迅速なものにレベルアップする。
長吉図開発開放先導区は吉林省中東部の二大都市である、長春市、吉林市および図們江地域を含む帯状の地域で、地域総面積2.36万平方
キロメートル、人口約770万人、経済総量は吉林省全体の70%を占めている。
現在当先導区では「長春・吉林国際陸港区」、「科学技術創新区」、「省際・国際協力産業区」、「現代物流区」、「生態系観光区」、「高度
サービス業集中区」、「現代農業モデル区」の8大プロジェクトが計画されている。
(2)対外輸送ルートの円滑化 ロシア、北朝鮮への道路、鉄道、税関などのインフラを建設し、国境税関関連施設の建設を強化し、通関手続きの 円滑化を促進す
る。陸海複合輸送ルートを強化し、琿春-カムショーバヤ間の鉄道輸送の復旧に努力する、
モンゴル・チョイバルサン山と内蒙古・阿爾山の間の「両山鉄道」とロシア国境地区のインフラ協力プロジェクト等の建設を推進する。
(3)国際・省間の産業協力園区の建設促進
琿春のロシア、日本、韓国、香港工業園区などの国際産業協力園区および上海、浙江省、広東省との省際産業協力園区の建設推進を強化する。
優遇政策を完備し、企業誘致方法を刷新し、地域経済協力を促進。
(4)産業によるサポートの強化 長吉図の地域内の生産力の分布を研究して、重要な工業プロジェクトを建設し、競争力のある新型産業基地を建設し、現代物流、
情報サービス、特色ある観光mアウトソーシングサービス、展覧会などの現代的なサービス産業に注力して発展させ、輻射能力を高める。
3.関連の組織作り
(1)李克強副総理が東北アジア経済貿易ハイレベル協力フォーラムで提起した「東北アジア投資協力基金」設立を検討する。
(2)「総合保税区」、「国境経済協力区」、「図們江地区国際自由貿易区」の設立を検討する。
(3)長春における「図們江地域協力開発事務機構」、「東北アジア地区地方政府首脳会議連絡処」の設立を検討し、図們江地域の各国、地方政府間のバイ、マルチの
実務協力を促進する。
以上の情報の出所: 「長吉図地域開放開発先導区計画実施指導者グループ会議(2009年10月9日開催)」における韓長賦吉林省長のスピーチ他より抜粋・
その他の参考情報(東北振興政策など)
中国政府は、2007年8月に東北振興政策第2弾として「東北地区振興計画」を発表し、計画の範囲を東北3省および内蒙古自治区東部とし、2010年の1人当たりのGDPを2002年の倍にする目標を掲げた。また、国務院は本年7月に「5点1線計画」を国家級プロジェクト「遼寧沿海経済帯発展計画」へ格上げすることを決定した。さらに、国務院の「東北地区等旧工業基地振興指導グループは8月17日、温家宝首相を座長に会議を開き、「東北地区等旧工業基地の振興戦略をさらに実施することに関する若干意見」を採択し、今後、東北振興を加速するために、関連の重点事 業を実施することを発表した。
また、現在中国東北地方では交通インフラの整備が進められており、大連-ハルピン間新幹線(2012年完成予定) 東北東部鉄道(黒龍江省綏芬河、牡丹江、吉林省図們、通化、遼寧省灌水、丹東、大連の各都市と結ぶ(2011年 央完成予定)、図們江貿易回廊の拡大(モンゴル・チョイバルサン-内蒙古イルシ間鉄道計画、日本海横断フェリー航路)の建設が行なわれ、中国東北地方の一体的な開発の気運にある。これらにより今後、物流、人、情報の動きが盛んになり、経済発展が更に進展することが予想される。
《2009.11.25 日中東北開発協会よりの提供》
長・吉・図先導区の鉄道・道路図 (ERINA提供)
【航路】クイーン・チンタオ Queen Qingdao再出発決定(2009/7/22)
7月22日「北東アジアフェリージャパン㈱」は、初航海以降運航を中断となっていたが、このほど「クイーンチンタオ号」の用船契約が纏まったため、7月28日より就航再開することを発表しました。
本船は1989年広島県尾道で建造され、2年前に韓国船社が購入して主として中国・韓国航路に就航していたもの。 総トン数16,485トン、全長160メートル、幅25m、喫水6.5m、航海速力20.5ノット、乗客数750名。コンテナ182TEU(20フィートコンテナx182本積み換算)(’09.7.28)
第1便は臨時に「新東春号」が就航し6月30日新潟港から出港しました。が、「ジャドンパール号」の傭船契約が不調となったため第2便以降が欠航中です。7月14日現在別の船舶を交渉中であるとのこと。
(新潟日報記事より、’09.7.14)
【航路】「北東アジアフェリー」と「DBSクルーズフェリー」が新潟と境港へ(2009/6/29)
束草~新潟~トロイツァ 「北東アジアフェリー」(2010年に終止)&東海~境港~ウラジオストック「DBSクルーズフェリー」 上記2本のフェリー航路が、共に2009年6月29日に共に韓国の束草港(ソクチョ)と東海港(トンへ)を出航して、新潟港と境港に入港することになった。まさに日本海横断フェリー時代の幕開けとなる。
「北東アジアフェリー」は日中韓ロ4ヶ国の合弁運航会社で、船名「ジャドンパール号」(15,971トン、コンテナ200TEU 旅客900名)。
DBSクルーズフェリーは韓国船主で、船名「イースタンドリーム号」(14,000トン級、コンテナ130TEUと旅客458名)、共に関係各国地方自治体から各種の資金やインセンティブ協力を得つつも、貨物や旅客の確保には程遠い状況下の船出となるが、環日本海、北東アジア地域の今後の発展のために成功を祈りたい。
注、「ジャドンパール号」は、その後「クイーンチンタオ号」に変更となった。
【会議】第6回IFNATがハバロフスクで開催へ(2009/5/26~5/27)
第6回IFNATは2009年5月26日(火)~27日(水)ハバロフスクで開催されます。
日本からの日程は:
25日(月)新潟~ハバロフスク(インツーリストホテル宿泊)、
25日(火)IFNAT会議(国際会議場)ハバロフスク州知事招宴、
26日(水)日ロビジネス対話、文化・観光視察、アムール川遊覧・パーティー、
27日(木)自由・オプショナルツアー、28日(金)午後ハバロフスク~新潟帰国。
参加お問合せは下記へどうぞ!IFNAT日本協力会事務局 ERINA特別研究員 鈴木伸作
【航路】新潟・ロシア・韓国 日本海横断航路 来月29日営業運航(2009/5/25)
『新潟とロシア・トロイツァ、韓国・束草を結ぶ日本海横断航路の実現を目指す日本側窓口「北東アジアフェリージャパン」(新潟市)は25日、延期されていた営業運航を6月29日に開始すると発表した。
貨客両用フェリーが週1回、新潟を中心にV字で双方を往来する計画だ。
新潟からロシア、中国・東北地方とのバイパスになり、本県の拠点性につながる可能性を秘める。
世界的な不況下での船出で、関係者の多くは当面の赤字は必至とみる。 日韓ロ中の関係4ヶ国の官民が連携し、集荷や誘客を徹底できるかが安定運航の鍵を握りそうだ。
同社によると、就航するのは、韓国の船会社所有のジャドンパール号{JIADONG PEARL)(15,971トン)、貨物は200TEU(20フィートコンテナ換算)を運べる。定員は約900人、当面3ヶ月間のチャーター契約を結んだという。 6月29日に束草を出港し、新潟西港への初寄港は30日の予定。
運賃や具体的な運航スケジュールは未定。 当初、新潟からの主力貨物と見込んでいた中古車は、ロシアの法律改正で大幅に需要が減退。 このため新潟から食料品や日常生活品を輸出、トロイツァからはアパレル製品などの輸入を予想する。 同社の五十嵐純夫社長は「厳しい経済情勢下、貨物の確保は容易ではない。行政の後押しを期待している」と述べた。
同日、都内で開かれた中国吉林経済貿易合作交流会に参加した陳偉根副省長は、「北東アジアの一大物流ルートにしたい」と語った。
同航海を運航するのは、4ヶ国出資による北東アジアフェリー(本社束草)。 2006年に初めて計画が公表されたが、関係国の利害調整の遅れや不況などで何度も就航が延期されてきた。』
【中国】琿春吉林省・日本工業団地の企業誘致協力意向書を調印(2009/5/25)
2009年5月25日、吉林省陳偉根副省長を団長とする代表団が訪日し、「吉林省経済貿易合作交流会」がホテルニューオータニで開催された。
この際に、琿春市の王金玉副市長・合作区管委主任とNEANETとの間に「琿春の日本工業団地への企業誘致協力に関する意向書」に調印した。
これによりNEANETは工業団地の情報を宣伝し、日本海横断航路の物流と観光を推進し、工業団地の投資環境を高め、投資プロジェクトに関するコンサルティング、現地調査などに協力する。
琿春市合作管理委員会は、投資企業に対して認可手続きや各種優遇措置の付与するなどの協力を行なう。
NEANETとしては、今後工業団地の投資環境に関する情報を集めて関係する企業へのPRや、進出への協力を行ないます。
左図の日本工業団地は吉林省政府により設置を計画されており、面積は5平方キロで第1期を1平方キロとしている。
日本以外に韓国・香港・ロシアなどの工業団地を計画している。エコロジー・環境にも配慮し,自動車部品・ハイテク電子・縫製加工等の産業発展に重点を置く。
吉林省政府は東北振興政策の下、長春から延吉まで3時間の高速道路を完成しており、2009年には琿春まで延伸工事中である。日本海横断航路の開設により、ロシア・トロイツァ港を出口として
日本・韓国他海外および中国南部への物流ルートを確保し沿海貿易都市として発展させるとしている。
【航路】「北東アジアフェリージャパン」の試験航海の実施(2009/4/1)
「新東春号」による試験航海が2008年10月23日と2009年4月1日の2回実施された。
初回は下記のように新潟港における幻の油漏れ事件というハプニングがあったが、2回目はトロイツァ-新潟-束草の逆航で順調に推移した。
本格実施の場合は当初計画の束草ー新潟-トロイツァの三角航路に対して、束草ー新潟ートロイツァー新潟-束草のV字型航路を予定している。
●第2回目の試験航海が行なわれました下記の第1回目の試験航海に引続き、2回目の「新東春号」による試験航海が平成21年3月30日トロイツァ港を出航、新潟港に翌日31日に入り、琿春市から16名が新潟で下船。
翌日4月1日に新潟から14名が乗船し束草港に向けて出航した。今回は琿春市から木材加工製品も降ろされ、新潟から空のコンテナが1本積み込まれた。双方とも荷役と通関はスムーズにおこなわれた。
前回とは逆方向の運航であり、本格就航を前にした課題の整理目的である。本格就航は、経済不況で貨物量が激減するなかではあるが、「新東春号」とは別の船を調達すべく関係者は努力を続けており結果が待たれる。
(左)V字の航路 (右)当初の三角航路