会長挨拶
会長就任にあたって
花田さん、吉田さんに引き続き会長を引き受けることなりました。身に余るものがありますが、皆様のご支援をえて、鋭意務めていきたいと思います。
北東アジアは日本にとって歴史的に極めて近い「外国」でした。日本は北東アジアの影響下で文化的な成長をしてきたわけです。一方、明治維新後の欧米との覇権競争に巻き込まれてから、現在にいたるまで、各国との複雑な関係を構築せざるをえない歴史的な状況が生まれてきたとも言えるでしょう。北東アジアのインフラ構築は日本にとって意味の深いものであるとともに、今後の世界経済の発展にとっても重要な鍵であります。北東アジアの政治的な安定と交流の活発化は確実に新しい未来を用意してくれるものと信じています。
鉄道と港湾は交流のためのインフラとして重要な役割を持っています。しかし、この地域の鉄道は、全体として十分なネットワークを形成していません。ロシア側の港湾はシベリア鉄道と結節していますが、韓国の港湾は内陸への鉄道と結節していません。中国は内陸への石炭輸送の結節点として鉄道と港湾の結節が進んでいます。中国の鉄道はモンゴルを通じてシベリア鉄道と通じていますが、モンゴルの鉄道は単線で、色々な設備が未整備でネットワーク上は、隘路となっています。道路輸送の効率の良さに負けています。
本NPOは鉄道と港湾が一体になった物流ネットワークを北東アジアに築き上げることが大きな目標だと思います。そのためには、大きな観点からのビジョン形成に寄与するとともに、自らのアームレングスにあるプロジェクトを一つ一つ追求していくことが必要でしょう。
先達の築かれた地平の上に新たな一歩を踏み出していきたいと思っています。各位のご支援・ご協力を重ねてお願いする次第であります。
会員の皆様の積極的な参加をお願いします。
2016年5月吉日
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特定非営利活動法人 北東アジア輸送回廊ネットワーク 会長 本間 邦興 |
設立趣旨書
特定非営利活動法人 北東アジア輸送回廊ネットワーク
内閣府認証: 2004年11月26日
設立年月日: 2004年12月01日
1. 趣 旨
日本海を隔てた対岸の北東アジア地域は、いまだに冷戦時代の残渣の存在、基礎的なインフラ整備の遅れなど、自由な人の往来や、効率的な物資の輸送を制限する要因を抱えている。しかし、最近、日本都対岸岸諸国との貿易や投資は大きく伸びている。また陸上で隣接する二国間での国境貿易は飛躍的な伸びを示し、観光、季節労働者派遣など人の往来も活発化してきている。
しかしながら、現在、年間を通じて日本海を横断し対岸を結ぶ国際フェリー定期航路は一本もなく、対岸諸国との交流面では日本海はいまだ閉ざされた海といえる。
この中で、中国吉林省、黒龍江省、内モンゴル自治区及びモンゴルは海をもたず、国際貿易の発展のため日本海への出海口を強く求めている。
こうした状況を受け日本側関係者は、過去三回、国際機関及び関係国・地域の関係者の参加を得て、北東アジアにおける国際輸送ルートに関するフォーラムを開催した。ここにおいて図們江輸送回廊は、上記地域の出海口としての機能を果たすことから、北東アジア地域の発展に最も重要な回廊の一つとして重要視されている。これらのフォーラムでは、この回廊の活性化に向け、関係者が今後共同して努力して行くことが確認された。
上記のような関係国・地域との共同取り組みの重要性は、図們江輸送回廊に限らず、多くの回廊に共通したものであり、その具体的実行は北東アジアの平和と繁栄に大きく貢献するものと考える。
ついては、この図們江輸送回廊の活性化に関する調査・研究、意見調整を関係国間で行い、また日本海横断航路開設事業及びエネルギー資源関連港湾改良事業等を支援する活動を行うこととしたい。こうして日本海に人と物資の流動を起こすことによって、日本海を交流の海に変え、北東アジア及びその関連地域を活性化することにより、この地域の平和と振興に寄与したい。
このために、法人格を有する組織を立ち上げる。
(注)北東アジアとは、ロシア極東及び東シベリア、中国東北三省及び内モンゴル自治区並びにモンゴル、韓国、北朝鮮及び日本を含む地域を指す。
2 申請に至るまでの経過
これまで日中東北開発協会、日本国際貿易促進協会、日本経済団体連合会日本ロシア経済委員会、北東アジア経済フォーラム、北東アジア経済会議、環日本海経済研究所などがそれぞれの立場から北東アジア経済の拡大発展に尽力してきた。
この中で北東アジア経済会議組織委員会運輸・物流常設分科会は、一昨年、北東アジア発展の最も基礎的な条件を満たす、同地域の国際輸送路9本を特定し、それぞれの実態と、改善すべき点、整備すべき具体的なプロジェクトを取りまとめ、「北東アジア輸送回廊ビジョン」として発表した(ホームページ表紙参照)。今後の課題はこれら過去の幾多の実績を踏まえ、輸送回廊ビジョンの具体化を急ぎ、日本海交流の拡大に努めることにある。
そこで、北東アジアとの交流拡大や経済発展に関心を持つ有識者が集まり、積極的にこれらのプロジェクトに取り組み、公益を実現して行くためにはNPO法人の設立が最良と判断した。
2004年8月6日
第3条 我が国と北東アジア各国・地域の人々の平和と繁栄のため、日本を含む北東アジアの国や地域における人や物資の交流促進事業の調査・研究、並びに日本海横断航路開設事業及びエネルギー資源関連港湾改良支援事業に関する業務等を行うと共に、北東アジアの重要な輸送路である図們江(ともんこう)輸送回廊等、北東アジア輸送回廊の通行の円滑化や活性化への協力支援を通じて経済の発展と交流の促進を図る。
第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次に掲げる種類の特定非営利活動を行う。
(1) 国際協力の推進を図る活動
(2) 経済活動の活性化を図る活動
第5条 この法人は、第3条の目的を達成するため、次の特定非営利活動に係わる事業を行う。
(1) 北東アジア(関連地域を含む。以下同じ)輸送回廊の調査・研究、情報提供及び広報
(2) 日本海横断航路開設事業への協力
(3) 北東アジア域内のトランジット(通過交通)の円滑化に向けての協力
(4) 北東アジアにおけるエネルギー資源関連港湾施設改良協力
(5) 北東アジアにおける輸送機器産業形成への協力
(6) 中国の国営企業近代化等、中国東北振興策実施、ロシア極東ザバイカル長期発展計画などの実施
に対する日本の協力への支援
(7) 北東アジアにおける環境改善策実施に対する日本の協力への支援
(8) 北東アジアの食料、農産物の物流に関する日本の協力への支援
(9) 北東アジアにおける国際展示会、国際バザール及び観光事業への協力
(10) 北東アジアへの投資、輸出入及び運輸等に関するコンサルテーション
(11) 北東アジアにおける国際協力を行う諸団体への協力
(12) 北東アジアの多国間協力における情報ネットワークの確保
(13) 北東アジアにおける人材育成への協力
役員・顧問名簿
(2024年6月1日現在・敬称略)
理事・会長 | 本間 邦興 | (株)SGPコーポレーション 代表取締役 |
理事・理事長 | 大村 哲夫 | (一財)みなと総合研究財団 顧問、(株)日本港湾コンサルタント 取締役相談役 |
理事 | 三橋 郁雄 | 元(公財)環日本海経済研究所 特別研究員 |
理事 | 西宮 公平 | 秋田海陸運送(株) 代表取締役 |
理事 | 鈴木 勝 | 大阪観光大学名誉教授、NPO釧路湿原美術館副理事長 |
理事 | 李 燦雨 | 帝京大学現代ビジネス学科 准教授 |
理事 | 小玉 朋恵 | NEANET事務局長、(株)日本港湾コンサルタント 調査役 |
理事 | 西盛 祐吉郎 | 元金沢商工会議所 常務理事 |
理事 | 谷 秀洋 | (株)谷事務所 代表取締役、ティッセンクルップ・ウーデ・ジャパン取締役 |
理事 | 鈴木 伸作 | (公財)食の新潟国際賞財団 常務理事 |
理事 | 崎本 武志 | 江戸川大学 教授 |
理事 | 新井 洋史 | 新潟県立大学北東アジア研究所 教授 |
理事 | 岩間 正春 | 早稲田大学研究院総合研究機構招聘研究員、COSCO シッピングジャパン上席顧問 |
理事 | 千原 嗣朗 | 元JTB グローバルアシスタンス執行役員 |
監事 | 田中 弘 | 環境ビジネス開発イニシアティブ代表 元日本カーボンファイナンス代表 |
顧問 | 花田 麿公 | 前々NEANET会長、元在モンゴル日本国大使 |
顧問 | 吉田 進 | 前NEANET会長、元ERINA名誉理事長 |
会員リスト
(2021年5月1日現在)
◆団体会員11団体