会員の広場 / Members Forum
●【会員のブログ(自由投稿コーナー)】
・河本龍男 株式会社カワモト 代表取締役会長 (2016/11/18)
私、河本龍男は今回11月1日~6日までロシアのウラジオストックへ行ってきました。
2日BELKUTグループの案内でスラビアンカ港を視察しました。ウラジオストックから自動車で3時間ほどの距離でしたが、途中までは道路事情は大変良く
快適なドライブでした。港湾施設はだいぶ古く現在水深5メートルで大型船の入港は出来ません。中国吉林省が投資をして開発が進むようです。
4バースありました。
人口は15,000人、前回我々が新潟からフェリーでテスト航海に行ったザルビノ港よりは大きく感じましたがかなり老朽化していました。又ザルビノ-釜山
航路もうまくいっていないようです。
3日はウラジオストックのFISHERY PORT港(漁業港)をPUBLIC JOINT STOCK COMPANYの案内で視察しました。石炭6万トンのストックヤード、
スクラップ中国韓国向け30万トン及びコンテナー20万本の取り扱い、韓国のSINKORのコンテナーが山積みされていました。韓国からの定期貨物船は
かなり活発に稼働しているようです。
目の前の対岸にはCOMMERCIAL PORT(商業港)がありライバル関係で切磋琢磨しているとのことでした。
総合的に判断して現在ロシアルーブルが大変安いので(1ルーブル=1.6円)輸入は苦戦しているようです。ロシア人は貧乏生活をしているとのことで
した。
逆に農産品(小麦,そば等)の輸出を増やしたいとの希望あり又LPGプロパンガスも輸出したいそうでありました。
韓国とはビザなしということもあり貿易は活発であり、現代グループLGグループはもとより韓国大手銀行も事務所をかまえており、日本はかなり出遅れて
いるように感じました。
最後にロシア側のアレンジで毎日高級レストランでおいしい食事をしました。ルーブル安ということもありリーズナブルな価格でした。東京で食事をした
らお金が足りません。冬のせいかお客は少なく感じました。ロシア人は物静かで中国人、韓国人とはだいぶ違いました。日本人には肌が合うように感じま
した。
当社の貨物船のこともあり、今後はロシアとのビジネスチャンスはたくさんあると思いました。(完)
●【海外会員からの寄稿】
ホームページの内容を充実するために海外会員の皆様からの寄稿を募ります。
今回は海外拠点の皆様からの寄稿をお寄せ頂くこととし、その第1回目としてウラジオストクの井上大樹さんにお願いをしました。
井上さんはNEANETのロシア極東における活動に対してロシア側カウンターパートとの会議やアポイント、港湾・鉄道輸送の現状調査などに際して案内・通訳
業務はじめ多大な助力をいただいております。
9月初旬にウラジオストクで行われた第2回東方経済フォーラムには安倍・プーチンの首脳会談が行われたので、井上さんより現地レポートを送っていただいた
次第です。
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(寄稿文)No.1 井上大樹 (ウラジオストク代表) (2016/9/27)
「ウラジオストクの空から~安倍首相の参加した東方経済フォーラムの意義と雑感~」
NEANETウラジオストク代表 井上 大樹
9月にウラジオストクで行われた第2回東方経済フォーラムにおいては、安倍首相の初参加とその演説を通して、「毎年、ウラジオストクで首脳会談を
やろう」など多くの提案がなされ、長い日露交流のなかで大きな節目となりえる、可能性のある意義深いものとなったのではないだろうか。
その本当の意義の発現までは、しばらくの猶予が必要であるが、そう遠くなく目に見える結果が出てくるのではないかという感触をここウラジオストクで
様々感じることがある。
今回の経済フォーラム開催に合わせて、会場となったルースキー島にはロシア最大の水族館がオープンし、かつ極東地域での投資プロジェクト参加を容
易にする「ボスホート」投資システムがスタートした。また総額1兆円8500ルーブル(約2兆7000億円)のプロジェクトが調印された。
沿海地方海洋水族館
しかし、今回の東方経済フォーラムの成果は、こういった本来の経済的成果以上に、(経済分野ではなく)政治的成果であったという論調がロシア側の報
道ではみられる。
その理由として、日本から安倍首相が参加し、「今回の訪問、演説に入念に準備が見られる」、「歴史的スピーチをした」とのロシアのメディアが評価する
ほどの演説(外務省HPに掲載)があげられている。
この演説は、ロシア側だけでなく、ウラジオストクに長年住む私個人としても大変興味深く、感慨深いものがあった。
ユル・ブリナーの生家
全く個人的な理由で恐縮であるが、実は、演説冒頭で、安倍首相が訪問希望した、(「王様と私」でオスカーを受賞した)ユル・ブリナーの生家と銅像
は、私の住む建物のとなりにある。首相は毎年の訪問を提案されていることから、もしかしたら来年にでも母国の首相が自宅隣に来てくれるかもしれない、
との思いは、なかなかありえないことであるし、ロシア、ウラジオストクに住む日本人としては、このような演説が身近な場所を言及していたことは大変
嬉しく感じた。
こういった、ロシア人ではないが少なくともウラジオストク住民の一人には心に響いた冒頭文から始まり、さらに数多くの提案があったこの演説は、
本来の政治家が与えるべきである未来への希望にもあふれたものであり、今のところまだあまり表には出てこないが、多くのロシア人の心にも響きはじめ
ていると確信する。
たとえば、日本がロシアに協力する8項目の1つである、「快適・清潔で、住みやすく、活動しやすい都市づくり」を両国で実施するためのモデル都市
として、ウラジオストクくらい、ふさわしい街はないと思われませんか? との安倍首相の提案は、一住民の立場から大変うれしい話である。インターネ
ットには、「日本人に北方領土を与えて暮らしがよくなるのなら喜んで与えよ」という意見も見られた。ただ、すぐ後、ソ連時代ならそんなこと言うもの
は銃殺刑ものだとも書き込まれていた。このようにロシア人の北方領土に対して持つ感情は複雑である。
それでも、今後、この提案を契機に日本の協力により本当にウラジオストクがモデル都市として変化していくのであれば、ロシア側が切実に望む極東の
発展に欠かせない極東地域住民の満足度が向上し、これが北方領土問題に対するロシア国民の感情を日本側へ歩み寄りの方向へ近づけていく何らかの寄与
につながっていくと感じる。
北方領土問題の解決は、本来私たち日本とロシアという隣人同士が仲良くお付き合いをしていくために欠かせない、真に大事な交流を深めていくための、
ほんの一部であると私は思うが、今度こそ長きにわたって妨げとなっている障害を乗り越えるためにも、微力であるが、ここウラジオストクにて、私も自
分でできる何らかの貢献を是非していきたい。 以上
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*海外会員からの第2回目の投稿者は、2006年3月から1年間をERINAで客員研究員として滞在し、日中経済について研究したのち、現在は黒竜江省社会科学院
東北亜研究所長や全国日本経済学会常務理事の要職にあり、ERINAならびにNEANETとは緊密な交流を継続しています。
NEANETのハルピン代表をお願いしています。
(’だ’さんの姓は、’竹’冠りに’旦’の字。読みは’dazhigang'です。)
(寄稿文)No.2 だ志剛 (ハルピン代表) (2016/12/7)
「黒竜江省が対日協力拡大の新たな強化を模索する」
中央指導部の一連の東北振興関連の新たな戦略の打ち出し、東北地域への新たな支持措置の実施、北東アジアを始め新たな開放拡大によって、近年における該当地域
の立ち遅れた現状が改善される予期が高まりつつあります。中国における一番北にある省また資源頼り発展パータンから未だに脱出していない途上省としては、5月2
3日における国家主席習近平の黒竜江省への視察を契機に、「一帯一路」や「中モロ経済べルト建設」と「龍江シルクロード建設」という国家と省独自の戦略との融合
を追求し、習氏を核心とする中央指導部の支持を含む呼びかけに呼応し、さらなる改革への模索を探り始めます。
その中で目立った動きの一つは、対ロシアの地政学的な優位性を活かして国境地帯での二国間の協力を加速させる一方、対日協力拡大の姿勢が鮮明となり、対日協力
を北東アジア全般の協力拡大に繋げて、黒龍江省の全方位的に国際市場を開拓する重要な一環に位置づけられます。これは今年における第一四半期から三四半期までの
日輸出入統計にも裏付けられます。黒龍江省商務庁の統計によると、1-9月の黒竜江省全省の輸出入総額は去年に続き大幅の下落で、対ロシア、米国、香港、ASE
AN、韓国の輸出入が何れも減少したこととは対照的に、対日輸出入が39%増となっております。170あまりの貿易相手国の中で減少した数が105カ国で、増加
したのは65カ国しかありませんでした。
振り返ってみると、20世紀の80-90年代においては黒竜江省の対日協力は該省におけるウエイトが大きくて、時々黒竜江省の輸出入ランキング上位5位にラン
クされて、三菱自動車、森永乳業などの投資も黒竜江省の外資誘致の象徴的な案件となるほど有名でした。現時点では、外部需要の下落と自国経済のニュー常態入り、
また黒竜江省の対ロシア協力の不振、供給側改革の圧力拡大などの影響で、日本との相互補完的な協力を強化する声と動きが強くなり、産官学界から対日貿易規模の拡
大、日系企業の産業シフトの受け入れ、日本の供給側改革の経験を参照して、黒竜江省の全面的な振興への外部源の一つとするなどの主張を噴出し、中日関係が相対的
に安定する局面は維持できれば、このような地方自治体からの対日協力の動きが更に顕著となると想定できます。日系企業にとってもまたとない機会でもあり、黒竜江
との農業、乳製品業、健康産業協力を始めとする進出を希望したい企業にとっては良い材料と考えられます。
(中国黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員 だ志剛)
以上
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●【新入会員のお知らせ】
・杉本希世志 (2017/3/8) New!
皆さん、初めまして!
この度NEANET会員の一員となりましたこと、とても嬉しく思っております。ご縁に感謝です!
これまで約20年に渡り中国を中心にアジアで製造関係、人材ビジネス関係の仕事をしてきました。
フィリピン、中国上海に2年ずつ駐在し仕事をしていた時期もあります。
北東アジアに関しては、ご縁があって延吉との関りが強く、現在も年に2,3回は現地に足を運んでいます。
とにかくこの活気に溢れるアジアが大好きで、’ご縁を大切に’’現場主義’をモットーに、それぞれの地域が足りないものを補完しあう、
潤滑油の役割を果たしていければと思っています。
皆様とお会いし、交流させていただくことを心より楽しみにしております。また、少しでも何かしら皆様のお役に立てればと思っております。
今後ともどうぞよろしくおねがいいたします。
<追伸>
現在、アジア・ビズ・フォーラムという団体で、地方インバウンド・ビジネス支援の活動を行っています。ご興味ある方は是非お声がけください!
●【会員からの情報】
●【会員企業の紹介】
・延辺・琿春の小島衣料琿春工場 (琿春紅尓服装有限公司)
小島衣料㈱(本社岐阜市)は、従来上海・武漢などに縫製工場があるが、最近は従業員の募集が困難となっており、
工賃の上昇やエネルギー不足停電による操業支障などから、琿春への進出を計画していた。
昨年2012年10月から操業を開始して2013年5月現在で350人体制となり、従業員確保にも目途が立ってきたので琿春経済合作区内
に新工場用地を確保して年内に1千人規模、近い将来には3~5千人にする予定の由。
日本海横断航路により納期の短縮が出来ることから、このルートの実現に寄せる期待が大きい。
●【こぼれ話】
「北東アジアのこぼれ話 モンゴル編」(2007/5/23)
「モンゴルこぼれ話をはじめるに当たり」そして「船の話」
モンゴル出身のお相撲さんが大活躍しており、場所中は本当にモンゴルを身近に感ずる今日この頃ですが、果たしてわれわれは本当にモンゴルについての知識を有し
ているのであろうかと問うとき、はなはだ心許ないものがあります。
北東アジアにおけるネットワークの確立を目指すわれわれNEANETの中においてさえもモンゴルとは、と改めて考えてみるとき、等身大のモンゴルを、また日
本の将来にとっての重要性などについて、会員の皆様が必ずしも認識を共有されている訳ではないのではないか、ある午後夕日のさす書斎の窓辺でステーツァイ(モ
ンゴル式乳茶)をのみながらふと思いました。北東アジアネットワークの構築においてモンゴルとはこんなに重要なんだと正面切って賢しらに論じることも無論可能
でしょう。
しかし、草原の国、遊牧の国等々の画一的な、確立された情報から一歩しりぞいた、そして、もっとのりしろ広くこの国を見て、理解することのできる周辺的情報、
知識を一般に紹介することにより、よりリアルなモンゴルの実像に接していただけるのではないかと日頃考えていましたところ、このホームページでのコラムを始め
てはと勧められ、まずは己の同士たちの暇つぶしにと勇を鼓してスタートさせることにしました。 ご感想をいただけたら有り難いと考えます。
「船の話」を始めにしたい。
モンゴルは草原の国、砂漠の国との認識が一般にもたれている。確かに年平均降雨量は220ミリで、わが国においては集中豪雨があれば、場合によっては24時間
に降る雨の量でしかない。南部のゴビ地帯ではガンタイ(旱害)とかガンドー(乾燥)とか夏から秋に掛けて云われる地域が毎年あり、7年も雨が降らないというよ
うな地域もある。 そのようなモンゴルではあるが、北極海から吹き付ける湿った空気があり、また西北山岳部の万年雪に源を発する地下水脈があって、地上で進行
しつつある砂漠化とは裏腹に地中深く豊かな水脈があるそうである。 因みに北方からの湿った風のメカニズムについては、元滋賀大学教授でモンゴル学の小貫雅男
教授がその著『遊牧社会の現代』で示しておられるので、興味ある方は一読されたらいかがかと思う。 モンゴルには豊かな水源に発する幾つかの大河がある。
東東方へ流れるヘルレン川はアムール川の上流であり何よりもチンギス・ハーンの揺籃の川であることで有名である。国土の中央部を北流する名のある川はみな扇の
要であるセレング市に向けて流れるセレンゲ川に集中し、やがてバイカル湖に注ぐ。因みに、バイカル湖の水の5割以上はセレンゲ川の支流のオルホン川にはオラー
ン・ツォトゴル、あるいはオラーン・フルフレー(赤い滝)と呼ばれるモンゴル最大の滝もあり滝壺にかかる虹は美しい。セレンゲ川の上流のエギン・ゴルは琵琶湖
の4倍ほどのフブスグル湖を水源として流れ出て、セレンゲ川までの流路は冒険的川下りの名所である。フブスグル湖には解体して輸送され、湖畔で組み立てられた
スフバータル号と呼ばれる汽船がある。湖畔のハトガル市からフブスグル湖北端の町でかつてはロシアへの輸出港であったハンフまで就航している。勿論湖が氷結す
る厳冬期は運休であり、トラックやそりによる輸送に切り替えられる。 社会主義時代、親しい友人で家族ぐるみの交際をしていただいたザヤードさんがフブスグル
県の知事でおられた頃、その計らいでハトガル港の付近を一周する特別プログラムでスフバータル号に乗せていただいたことがある。同船にはまた、経済代表団の一
員として視察の途次乗船させていただいたことがあり、二度の乗船の機会があった。スフバータル号はあまり大きくはないが堂々とした船である。 モンゴルに船と
は一般的には考えにくいだろうが、厳然としてあるのである。それどころか、市場経済移行後は香港の船会社の船舶を傭船して天津新港をベースにモンゴル国旗を掲
げた船が数年前まで運航されていたし、また最近では残念ながら嵐で日本海に沈没してしまったが、モンゴル籍船がウラジオストック港をベースに運航されていた。
モンゴル語で船とは本来オンゴツという。そして飛行機は飛ぶ船の意でニセフ・オンゴツと云っていた。 ところが、航空路の発達でニセフといちいちつけるのが
面倒になったのか、オンゴツとは単に飛行機を指すようになり、逆に船のことは水のオンゴツの意味でオサン・オンゴツと言うようになった。時代の流れであろう。
若い頃ロシア語を学んでいるときロシアの偉い言語学者に同行して夫人のこれまた有名な言語学者であるトダエバという方が来日された。彼女はロシアのカムイルク
(モンゴル語ではハルマック)モンゴル人であるので、現モンゴル国のハルハ語で話をしたところ、大分単語が異なり、飛行機のことをカムイルク語で何と言うか質
問したところ、サマリョートと答えた。ロシア語からの借用語である。当時ソ連領のモンゴル人の生活はロシア語中心であることを知るとともにモンゴル語が退化し
つつあることを知って、少数民族の哀れと大国民族主義の現実を感じたものである。
今、日本海に新航路を開設しようとNEANETも参加して日韓中ロが共同で事業を進めている。
いつの日か、モンゴルが当たり前に参加する日が来るのであろうか。
(2007.5.23 花田麿公)