2010年の情報のまとめ
【ロシア】日本車規制撤回 中古車業界、安堵広がる(2010/9/5)
【ウラジオストク共同】ロシア政府が「日本車締出し」につながる自動車の新たな国内基準の導入方針を4日までに撤回。
これを受け、日本からの中古車輸入が盛んなロシア極東や、環日本海の日本側輸出拠点で、中古車業界関係者の間で安堵の声が広がっている。
ロシア政府は撤回の理由について「シベリアや極東では住民の収入のかなりの部分を中古車輸入に依存しており、社会的な混乱発生のリスクを軽減するため」と発表、中古車ビジネスが”基幹産業”の極東の住民に配慮した結果としている。
山陰地方のある中古車輸出業者は「締め出しが現実となれば、日本にもロシアにも衝撃だった。何よりも朗報で安心した」と話した。
ロシアは今月23日から、製造年などを示す17桁の英数字のVINコード(車体識別番号)がない車はロシア国内で車両登録できないとする技術基準を適用予定。VINコードは欧米メーカー車にはあるが、日本車には11桁の車体番号しかない。
このため、事実上の日本車輸入禁止につながる新たな技術基準の導入には極東で反発が強く、ロシア産業貿易省が見直しを検討していた。
ロシア政府幹部会が2日に承認した技術基準の修正案は「ロシアに持ち込まれる(車など)輸送手段にはVINコードの要求事項を適用しない」とし、例外を認めた。
ただ、昨年1月に引き上げた輸入車関税について、プーチン首相はさらなる引き上げにも言及しており、中古車業界の警戒感は消えていない。(新潟日報記事)
ロシア向け中古車輸出統計 (2008~2010.6 月別輸出台数)
【航路】伏木富山-ウラジオ間に定期フェリー航路がスタート(2010/8/17)
富山県・伏木富山港~ウラジオストック港間の貨客フェリー航路を8月末から実施することを8月17日代理店である伏木海陸運送㈱の田中清夫社長が明らかにした。
現在韓国の束草(ソクチョ)港-ザルビノ・ウラジオ港間の定期フェリー運航会社である韓国・東春航運の「新東春号NewDongchun」を隔週1回伏木富山港に火曜日入港・木曜日出港の計画で運航する予定。
伏木富山とウラジオの間には昨年12月末までロシア極東船舶会社の貨客船「ルーシー号」が運航していたが、ロシアの中古自動車の輸入関税の大幅引き上げなどにより輸出数量が激減したこともあり、今年1月からは運休となり、ルーシー号も既に売却されていた。
従って「新東春号」は8ヶ月振りの就航となる。中古車輸入の新規制が9月以降に実施される予定であるが、中古車の個人輸入や新車の輸入が増えつつあり、1航海当たり300台前後の確保が鍵となる。境港-東海-ウラジオ間のDBSクルーズフェリーと併せて2本の日本海横断フェリー航路が出来上がることになる。
本船のローテーションは、ウラジオ-富山(火・木)-ウラジオ-束草-ザルビノー束草-ザルビノ-束草-ウラジオ-富山とのこと。
この「New Dongchun」による航路は平成23年に入り運休している。 (平23.12)
【モンゴル】中・モ国境税関の建設状況(2010/8/16)
NEANETで視察団派遣を計画中の中・モ国境税関地域の最近の状況を知る現地写真を下記入手した。
場所は下図のスンベル国境で、中国側はアルシャン(阿尓山)税関・モンゴル側はスンベル(Cynber)税関で中間に橋がある。建物自体は既に完成していて少量の国境貿易の貨物の通過もある模様。
但し両国税関の周辺の道路の舗装がされていないので、国際税関としては北京当局の審査を得るには未だ時間を必要とし、早くても本年10月前後と思われる。
また1939年に勃発したノモンハン事件の戦跡博物館が建設(中国側)されており、いまや観光スポットになっているらしい。
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モンゴル・スンベル税関 |
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ノモンハン戦蹟博物館 | ロシア軍の野砲と戦車(レプリカ) |
【北朝鮮】「圏河橋の補修工事スタート、羅津港の10年使用権を獲得(2010/4/10)
【吉林新聞・黒龍江新聞】北京全人代出席の李龍熙延辺朝鮮族自治州長は、3月7日「長・吉図開発先導区の建設を加速化する中、既に北朝鮮・羅津港の10年の使用権を獲得し、対外物流通路が開かれるものと見られる」と述べた。
また3月15日、琿春市と羅先特別市が共同で中朝国境「圏河橋」(圏河-元汀)の改修工事の起工式が行なわれた。この橋は1938年に建設されたが、この年に勃発した「張鼓峰事件」により封鎖され、1990年代初めに再開され
るまで70年を超えて老朽化して危険な為、中国側では河中までの工事を進めてきた。6月末までに完成する予定とのこと。長さ535.2m、幅6.6m。
【北朝鮮】羅先市を「特別市」に(2010/2/5)
【日経ソウル発】朝鮮中央放送は羅先市を「特別市」に指定するとする最高人民会議常任委員会の1月4日付けの政令を報じた。
ラジオプレスによると特別市は中央指導部の直轄市を意味し、北朝鮮では平壌市と羅先市の2つとなる。
羅先市は1990年代前半に前身の羅津市が自由経済貿易地帯となり、特別市に指定された。
その後2000年代に入って中央指導部の直轄から外されたとされていた。
【北朝鮮】「琿春-羅先」間の橋・道路 中朝、整備で協力(2010/1/7)
【日経北京発】 琿春市は羅先市をつなぐ橋の補修・建設や道路整備で合意したことを明らかにした。姜虎権琿春市長は昨年12月29日に羅先市人民委員会金秀悦委員長と合意文書に調印。
琿春市から中朝国境を流れる豆満江(図們江)を挟んで羅津港に通じる橋と道路のインフラ整備は貿易拡大を狙う中朝の協力事業の目玉になる。
中国の東北3省の食料などの積出港は、現在大連だが、日本海に面する羅津港への輸送経路を整え、日本や韓国向けを含む出荷能力の拡大を狙う。
実現すれば日本海における中国の存在感が大きくなりそうだ。 姜市長は羅津港1号埠頭も視察し、同埠頭の開発でも大筋合意したとみられる。
中朝をつなぐ鉄道建設や、ロシアも含む国境を越えた観光分野での協力でも合意した。 北朝鮮は4日、経済特区の羅先市を「特別市」に指定した。
指定に伴う具体的な措置は不明だが、投資環境の改善を進めるとみられている。中国の協力を得て羅先を物流拠点にできるかは、経済再建を目指す北朝鮮の貿易拡大方針の成否を左右することにもなる。
昨年12月には金正日総書記が初めて羅先を視察した事が確認されている。金総書記が訪中する場合、羅先開発も議題に上る可能性がある。