【モンゴル】日本・モンゴル間経済連携協定(EPA)が締結された(2015/4/10)
2015年2月10日、来日中のサイハンビレグ首相と安倍総理との間で日・モ間EPAが署名されました。その内容についてNEANET花田名誉会長(元在モンゴル日本国大使)よりのコメントを頂いたのでここに紹介いたします。
【モンゴルとのEPA署名について】
1.本年2月10日安倍総理とモンゴルのチメド・サイハンビレグ首相との間で日本モンゴル間の経済連携協定(EPA)と同協定の実施取極が署名されました。同時に署名にあたっての共同声明が発表されました。
同協定本文は200頁、10本の付属書の合計頁数は、付属書一の233頁を含め610頁、実施取極49頁で総計859頁という膨大な条約です。
同協定に含まれる分野としては次が定められております。
(1)物品一般ルート(関税の撤廃、削減等)
(2)関税手続き
(3)強制規格、任意規格及び適合性評価手続き(国際基準の利用など)
(4)衛生植物検査措置
(5)サービス貿易
(6)自然人の移動(入国、一時滞在、手続きの透明性等)
(7)投資
(8)知的財産
(9)電子商取引
(10)競争
(11) ビジネス環境の整備
(12)協力
この協定により、往復貿易額の約96%の関税を10年間で撤廃し、この間モンゴルは96%を無税にするが、日本は100%無税にするとされています。
この協定では主に次の市場アクセス改善が目論まれています。
日本側: ① 鉱工業品 ほぼすべての品目を最大10年間関税撤廃
② 農林水産品 一部の牛肉調整品等に関税割り当て。ペットフードは即時関税撤廃または10年で段階的に撤廃
モンゴル側:日本からもんごるへの無税輸出の割合が、現状のそう輸出額の1%未満から約5割、10年間で96%まで拡大
① 鉱工業品: 自動車(製造後0~3年の完成車、4,500CC以下)及び自動車部品の関税即時撤廃その他は10年間で関税撤廃。
建機等関税撤廃を含む一般機械10年間で関税撤廃
② 農林水産品: 切り花、果実、味噌、醤油等即時撤廃または段階的関税撤廃
③ その他: 清酒、焼酎の関税即時撤廃
2.この二国間EPAの構想はつとにありましたが、2009年バヤル首相(当時)が麻生総理(当時)に要望したのが両国間の公式の場に出された始まりです。しかしすぐには進展しませんで、翌2010年6月から開始された官民共同研究、および同8月の岡田外務大臣(当時)のモンゴル訪問を機に気運がたかまりました。そして2012年3月実務訪問賓客で来日したバトボルド首相と野田総理(当時)との首脳会談で正式に交渉が決定されました。交渉は2012年6月、故西宮信一外務審議官(当時)がウランバートルを訪問して、第一回の会合が行われてより7回の会合を経てようやく今回協定の調印に至ったものです。
3.条約というものは、当然結ぶべきものが結ぶ相手と締結されているのではなく、どこの国も効果対労力を考えて、どうしても必要なものを優先して、あるいは必要に迫られて締結するものです。これまでモンゴルとの間に結ばれた条約が比較的少ないのはそういった事情があり、日本が他の国との条約締結を優先して専念するあまり、モンゴルとの間の条約締結に労力を割けなかったという面があることも否めません。ところが今回、ただいの労力を払いこのような条約が結ばれたことには、両国間の貿易額を考えれば、日本側に超党派でそうしたいという多大の政治的動機があったと言えましょう。それは日本を取り巻く北東アジア環境、特に中国を見据えての策であろうとも言われています。
寄ってたつ地域において協力関係を構築するには、EUのように大きな地域共同体を構築するのもひとつの方法ですが、関係周辺国との間に先ずEPAなどの二国関係を構築し、周辺国一般に広げて結果的に地域間に広い協力関係を構築するのももうひとつの方法であり、北東アジアにおいてはそれが適切ではないかと思われ、モンゴルとの間でともかく成立したことは喜ばしく、関係者のご努力を多とするものです。/以上
以下、外務省のWeb-siteからの情報内容を掲載いたしますのでご参照下さい。