2006年の情報のまとめ
【航路】東春フェリー白晟昊社長との新潟会議 三角航路を日韓合意(2006/9/22)
9月22日来日の白社長と4ヶ国合弁航路についての実務的な打合会議を行った結果、新航路は上記記事の如くザルビノ~束草~新潟~ザルビノの三角航路とすることを合意しました。この結果ソウルから3.5時間の距離にある束草港(ソウル~釜山間は陸上11~12時間掛かる)から新潟までの韓国からの貨物と人が利用出きる事で採算的にも有利な条件となります。時間的には一日遅くなるが大連経由より早いのは間違いなくメリットは変わらない。 同日は10月に束草に視察団を出す新潟経済同友会メンバーならびに港湾関係者とのセミナーが行われ白社長からフェリー航路による地域経済交流が著しく発展した事例紹介があり、新潟としても地域経済の活性化に貢献することを期待。
【航路】日中に新輸送ルート 日本海経由、1日半で結ぶ 来春までに開設(2006/9/6)
【北京=飯野克彦】 新華社電によると、中国・東北地方からロシア、韓国を経て新潟につながる海陸一貫の定期輸送ラインを来春までに開設するとの文書に、四ヶ国の関係者が署名した。中国・東北地方と日本の間の貨物輸送の時間とコストを大幅に節約できると関係者は期待している。 署名したのは日本の環日本海経済研究所
(新潟市)、中国・吉林省の琿春市当局、韓国とロシアの運輸会社。 共同出資会社を設立し、ロシアのザルビノ港から韓国の束草(ソクチョ)を経て新潟にいたるルートに週一往復の定期貨客フェリーを運航する計画。 琿春ーザルビノ間は陸路になるとみられる。
現在、中国・東北地方からの日本向け物資は陸路で遼寧省の大連港まで運び、新潟まで約12日かかる。 新ルートが開通すれば一日半に短縮できるという。 北朝鮮を迂回するルートが動き出したことで、孤立ぶりが鮮明になった格好だ。」 (2006/9/6日本経済新聞朝刊)
【航路】長春・第2回吉林省貿易投資博覧会で4ヶ国協議書調印発表(2006/9/2)
9月2日表記の機会に4ヶ国合弁による新航路開設についての「協議書」調印のセレモニーが行われ、この結果を新華社配信を元に日本経済新聞社が9月6日朝刊に記事が掲載された結果注目を浴びて、多くの方々から問合せを受けている。 参考までに記事内容をここに添付します。記事には運航ルートとしてザルビノー束草ー新潟ーザルビノとあるが、ザルビノー新潟間の直行だけでなく今後関係者間の協議によってはいろんな選択肢があると了解願います。 (’06.09.15 日経記事)
【航路】第2回4ヶ国会議をウラジオストックで開催(2006/8/7)
8月7日、ウラジオストックの沿海州政府会議室でザルビノ~新潟間国際フェリーに関する第2回4ヶ国会議が行われました。 この航路開設までの条件整備などおよび4ヶ国合弁設立のための率直な意見交換を行い基本的な合意を見ました。条件整備については、東春フェリーの経験から本船入港に際してのタグボートや、コンテナヤードの舗装などの港湾施設改善、中ロ国境税関に於ける貨物と旅客通過に係る設備の拡張などについて問題提起があり、ロシア側は改善への努力を約束しました。 旅客のビザの簡素化や税関・出入国管理問題は中央や軍などとの関係もある。 ツーリストビザは内務省の管轄になっているが、7月1日からトランジットビザが取れない状況にあるとのこと。 4ヶ国合弁に関しては、資本金総額と4ヶ国のシェアについて基本合意に達したが、持ち帰り事項のため未だ公表はしばらくお待ち下さい。 日本側がマジョリティを持ち新潟に本社を置くことは同意です。東春フェリーの「新東春号」をザルビノ~新潟間に週1便運航することを第1案として、その他の可能性も検討をする。 何れにせよ貨物輸送については延吉~大連~日本の運賃と十分競争出来るように海陸一貫運送条件を整備することが肝要であり、特にロシア領内の陸上輸送面でロシア側が努力することを表明した。 会議を通じて、ロシア側の積極的な姿勢が印象的でした。
【モンゴル】日・モンゴル経済会議(2006/7/25)
会議は、モンゴル産業貿易省・NEANET・ERINA・日中東北開発協会/北東アジア経済委員会の共催により、①貿易・投資 ②鉱山開発 ③インフラと輸送 について報告と質疑が行われた。この中で輸送に関しては花田会長とジャルガルサイハン運輸観光省担当官のにより説明が行われた。特に図們江輸送回廊につながる道路・鉄道に関しては、東西にミレニアム・ロード建設の促進すなわちウランバートル~チョイバルサンを経て、更にノモンハン事件のあったハルハ川地域を通り、中国内モンゴル自治区のイルシまでの鉄道敷設が重要である。会議の終了後に急遽行われた運輸観光省ツェンゲル大臣とNEANET代表一行との会見時において、このための日本側の協力を求められた。NEANETとしては再F/S調査の実施への協力がありうると思われる。
日・モ経済会議 | 議長席 花田会長・吉田顧問 | 運輸・観光大臣他とNEANET代表 |
【モンゴル】06モンゴル経済視察団(2006/7/22~7/26)
7月22日~26日、花田NEANET会長(前モンゴル大使)を団長とするモンゴル視察団一行19名がモンゴルを訪問しました。今回はモンゴル建国800年、来年は日本・モンゴル国交35周年にあたり、モンゴル政府からの要請に基づき7月25日に日・モ経済会議の開催となったものです。成田からウランバートルまで4時間半の直行便で、随分近い国になりました。着いた翌日は現在日経新聞に連載の堺屋太一氏「世界を創った男~チンギスハン」のそのままに、500騎の騎馬隊による正に大草原絵巻を見物し、その夜はゲル(テント)に泊り、馬乳酒で乾杯し<ゲル友の会>が発足しました。翌々日は南方のゴビ砂漠にある「オユトルゴイ・銅鉱山開発」を視察、現在カナダ・オーストラリア企業によりボーリングが進められて有望な資源埋蔵量が確認されており、JBEC(日本開発銀行)の支援を受けて、日本企業による30万KW石炭火力発電所(南ゴビ電源開発)プロジェクトがこれから進行します。石炭は既に中国に200万トン輸出され、これら豊な地下資源にに対して外国資本が入ることにより人口250万のモンゴルは経済的に浮上することが予想されます。朝青龍・白鵬のすもう人気で日本には非常に好意的ですが、ODAの最大のドナーであるが対日貿易量は少ないために、日本の企業の進出を大いに望まれています。
騎馬隊一大スペクタクル | オユトルゴイ銅鉱山入口 | ボーリング・サンプル |
【航路】日本海横断航路開設のための4ヶ国会議と覚書の調印(2006/5/25)
~2006年5月25日スラビヤンカ会議~
2006年5月25日に日本・中国・ロシア・韓国の会議がロシア沿海州ハサン地区長官会議室で行われました。これにより東春フェリーによるトロイツァ港(旧ザルビノ)と新潟港を結ぶ定期航路の実現の可能性が間近になって来ました。
覚書の調印者は次のメンバーです。
日本側: 吉田進(ERINA理事長・NEANET顧問)
中国側: 金相鎮(琿春市長)
ロシア側: ゴルチャコフ(沿海地方政府副知事)
韓国側: 白晟昊(東春フェリー社長)
覚書の骨子は、トロイツァ港と新潟港(その他)の間に東春フェリー(貨客船)を毎週1~2回定期的に運航をする。時期的には来年、早ければ年内の実現を目指す。このために4ヶ国が共同出資の合弁会社を設立すると云うものです。スムーズな日ロ中間の国際海陸一貫輸送確立のためには現在施設的なハードインフラおよび国境通過など貨物のCIQのソフトインフラ、特にロシアと中国国境の税関手続きのボトルネック状態の解消や、更には旅客の為の通過ビザなどの簡素化などの問題の解決に4ヶ国関係者が協力する。当面1~2年間は赤字運航が予測されるために、貨物集荷の共同協力作業やリスク分散・分担の必要があります。これらの問題を共有し且つ課題の解決のためにどうするべきなのかを真剣に討議されました。ローカルではあってもこの地域の官民国際協力という極めてユニークな体制が出来るということは歴史的にも意義があると思います。
参加者(敬称略)
日本側: 吉田進(ERINA理事長)、堀憲明(商船三井相談役)、松本巖雄(商船三井秘書室長)、小島正憲(小島衣料社長)、及川英明(小島衣料琿春代表)、三橋郁雄(ERINA特別研究員・NEANET企画委員長)、杉本侃(前経団連日ロ経済委参与)、佐藤嘉信(前NAVIX社長)、足立英夫(事務局長)
中国側: 金相鎮(琿春市長)、蔡旭陽(副市長)、王金玉(合作区主任)、朴永福(外事弁主任)、金洪哲(口岸弁公室〕、
全成哲(発展局長・小島衣料琿春社長)、朴珍舜(発展局次長)、兪龍吉(琿春TV局)
ロシア側:ゴルチャコフ(沿海州副知事)、テキエフ(沿海州副議長・ベルクート社会長)、クリシン(ハサン地区行政長官)、ボロディン(沿海州国際部長)、
ゴリコフ(トロイツァ港社長)
韓国側: 白晟昊(東春フェリー社長)
*受け皿組織作り: 上記の結果を踏まえて日本側としては、合弁会社の前に受け皿会社の設立が必要であり、また合弁会社の設立のための事業計画F/Sなどの作業を進めております。6/21のNEANET企画委員会で会員および関係者との検討会議を予定しています。
*新東春号:4月から束草~ザルビノ間には新東春号(New Dongchun)が就航しています。これは従来の東春号より規模が大きく、改装してベッド室を増やした。速度24ノットです。
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「新東春号」(New Dong Chun) 総トン数: 13,213トン スピード: 24ノット 貨物能力:132TEU リーファープラグ:20個保有 旅客定員: Royal ベッド2人室x6、(12人) First ベッド4人室x20(80人)、畳4人室x4(16人) Economyベッド8~20人室x31(360人) 畳5~35人室x6(108人)・・・主として個人商人用 | 写真左から; クリシン(ハサン地区行政長官) テキエフ(沿海州副議長・ベルクート社会長) 金相鎮(琿春市長) ゴルチャコフ(沿海州副知事) 小島正憲(小島衣料社長) 吉田進(ERINA理事長・NEANET顧問) 白晟昊(東春フェリー社長) |
【会議】「琿春国際フォーラム」~報告~(2006/2/21~2/22)
2006年2月21・22日は天候にも恵まれ想定外の暖かな琿春であった。参加者は日本側31名・中国側45名・ロシア側4名・モンゴル1名・韓国側4名と予想を上回り、初日全体会議・2日目日本海横断航路開設に関して熱心な意見交換が行われた。会議は琿春市金相鎮市長・蔡旭陽副市長ならびにNEANET側は岩崎副会長・吉田進ERINA理事長・三橋NEANET企画委員長らが終始リードし、会議の成果として琿春会議宣言文が5ヶ国代表により調印され、また2日目には参加荷主(中国企業や日本/韓国の出資企業で大連経由で日本向けに貨物を出荷している企業)23社により横断航路開設の要望ならびに連絡会設置の文書に署名した。
この琿春国際フォーラムは琿春市政府とNEANETが共催し、官・民合同バラエティに富んだメンバーが参加し、瀋陽とウラジオストック両日本総領事館からもオブザーバーとして出席いただいた。中国は第11次5ヶ年計画のスタートの年に当たり東北振興政策の下で南方地域への輸送出口としてザルビノ港・羅津港を利用することを重視している。琿春市と羅先市の合弁企業による道路・港湾・工業区開発を支援。韓国東春フェリー(白晟昊社長)は束草~ザルビノ港フェリー航路の成功により近々新船を投入して、日本へ航路延長をする考えを披瀝した。ロシア側BERKUT社(ザルビノ港フェリーターミナル所有者)(Mrムスハノフ社長)は国際トランジット回廊による貨物量の増大に対応し、中ロ鉄道の問題解決や日本からコンテナクレーン移設への期待を表明した。 モンゴルは運輸・観光省(Mr.ジャルガルサイハン)は図們江輸送ルートによる陸封状態からの脱却への期待は大きい。SASCO社(Mr.アベリアノフ)はRo-Ro船の投入検討を述べた。
第2日目の日本海横断航路検討会では多くの荷主企業との間で活発な意見交換が行われた。
中国企業では草炭・腐葉土などの園芸材料を大連経由輸出する延辺園芸材料会社(高元哲社長)、延吉市の韓国製品輸入会社の大洋総公司(李明淑社長)の日本商品輸入構想などの説明があった。韓国企業では琿春最大の縫製企業である裳邦爾紡績(サンバンウル)会社(林彩旭部長)は日本向けにメリヤス下着などを大連経由で輸出をしている。日本側は琿春に既に進出している琿民制衣(岐阜武)(黄龍箕熙代表)・美郷ファーム(佐藤社長)、ならびに昨年末に婦人服縫製独資工場を立ち上げた小島衣料(琿春紅尓服装(小島社長))などの代表者により一日も早い日本海横断航路の実現への期待を熱く述べられた。 図們江輸送回廊の実現に関しては国境を跨ぐ多国間の関係者が種々の障害の存在を認識し、それを如何にしたら除去できるのかを共通の土俵の上で話し合い、解決の道筋を話し合うことがなお必要である。いままでのERINAの築いてきた実績と信頼関係の上に、今後NEANETとして一層の努力・協力を求められていることを実感する次第。
金相鎮琿春市長による宴会 | 5ヶ国代表による琿春会議宣言調印 |