NEANET総会・情報交換会
【第11期(2013年4月~2014年3月)の会員総会・情報交換会の報告】 (2014/5/21)
[総会の部]
開催日時: 平成26年5月21日(水) 場所:日本港湾協会・会議室
理事会 13:30~14:15
総 会 14:30~15:15
情報交換会 15:30~17:45
懇親会 18:00~20:00 於「北海道」赤坂見附店
1.役員の改選: 第11期は2年に1度の役員改選期にあたり、新人事は下記の通りです。
【第11期の役員・顧問リスト】
理事・会長 吉田 進 (公財)環日本海経済研究所 元名誉理事長
理事・副会長 岩崎 篤意 日中東北開発協会 顧問
理事・理事長 栢原 英郎 (社)日本港湾協会 名誉会長
理事・企画委員長 三橋 郁雄 (財)環日本海経済研究所 特別研究員
理事・企画副委員長 東山 茂 ㈱JFE環境 顧問
理事 生田 章一 日中東北開発協会 理事長
理事 笠井 ヤク雄 日本国際貿易促進協会 理事長
理事 小島 正憲 小島衣料㈱ オーナー
理事 本間 邦興 南ゴビ電源開発㈱ 取締役社長
理事 西宮 公平 秋田海陸運送㈱ 代表取締役社長
理事 寺尾 重資 北陸環日本海経済交流促進協議会(北陸AJEC) 常任理事
理事 田中 弘 環境ビジネス開発イニシアティブ代表
元カーボンファイナンス 代表取締役
理事・事務局長 足立 英夫 NPO北東アジア輸送回廊ネットワーク (理事 以上13名)
監事 龍田 晃一 新日本製鉄㈱ 新潟支店長
監事 島崎 武雄 地域開発学研究所 所長 (監事 以上2名)
名誉会長 花田 麿公 元モンゴル日本国全権大使
顧問 古賀 憲介 日中東北開発協会 特別顧問
顧問 堀 明憲 ㈱商船三井 前相談役
注: 花田前会長が名誉会長、吉田前副会長が新会長に就任。東山・田中理事が新任。
島崎前理事が新監事に就任。藤沢前監事は退任。その他の理事は再任。 (任期:2ヵ年)
2.第10期〔2013年4月~2014年3月)の事業活動報告
概況:
2013年度の我が国の経済は、安倍政権のデフレ脱却経済政策のもと円安に向かった為替レートが、米国経済の回復やアジア諸国の経済発展に伴う好調な消費の増加に支えられ、輸出企業の業績を大幅に改善させた。一方、大震災以後の石炭・原油・LNGのエネルギー資源輸入増加は引き続き生起しており、輸出入の差額である貿易黒字額は急縮小している。日本政府は現在、この4月の消費増税後の景気落ち込みを抑えるために、企業に所得水準の引き上げを求めると共に、国家戦略特区など新しい成長政策の早期導入、今年度国家予算の早期消化などにより景気の下支えをしようとしている。
ロシアとの関係は、安倍首相がソチ・オリンピックに出席するなど一連のプーチン大統領との対話を背景に今秋の同大統領の訪日を実現し、平和条約締結と北方領土問題解決に向けて大きく前進することが期待される状況にある。しかしながら、この3月にウクライナ問題が発生、欧米とロシア関係は緊張しており、今後の世界経済へ及ぼす影響が懸念されるとともに、米国と歩調を取る日本としては、折角の日ロ友好ムードに停滞感が出かねないことを危惧している。
中国及び韓国との関係は、尖閣諸島・竹島(独島)及び歴史認識問題の対応で首脳間対話が(米国仲介による一部を除き)未だに実現していないなど、政治的には緊張状態が発生しているが、経済的には大きな落ち込みは見られておらず、政経分離の方向に進みつつある。
北東アジアの状況:
北東アジアの対岸地域に目を転じると、この1年間の動きは比較的静かであった。
ロシア極東は、WTO加盟、APEC2012の開催後のより国際化に向けての動きが進むと共に、エネルギー資源の「東方向けベクトル」政策による北東アジア諸国との関係強化が打ち出され、シベリア鉄道・港湾施設等輸送インフラの改善・強化が重点施策となっている。すなわち、東シベリア及び極東の石油・ガス資源の開発。輸出向けを含む石油・ガスパイプライン網の形成、石炭や穀物用の新港湾建設計画などである。LNGの2012年の輸出量は約1.1千万トンに達した。今後については従来からの分野に加え、先端医療センターの建設・エネルギー効率や環境などを踏まえた近代的都市環境の整備・農業協力などの多様な協力関係が日ロ首脳間で話合われている(9月、G20サンクトペテルブルグサミット)。
琿春~マハリノ間の鉄道が再開され(2013年8月)、2014年1月にロシア産石炭2万トンが琿春に運ばれた。中国側としては2014年には年間80~100万トンの輸入計画とのこと。これとは別に琿春産石炭の上海など南方へ年100万トンを移出する為に、防川-元汀間「圏河橋」に併行した「新橋」の建設設計が終了し、着工待ちである。
羅津港の第3埠頭は49年間の使用権をもとにロシアにより改修され(9月)、2014年にはロシアの最南端不凍港として100~200万トンの石炭の積み出し港としてスタートする。
人流では"ニューブルーオーシャン号"による韓国束草~ザルビノ間フェリーが再開され、2014年4月からの朝鮮族の韓国同胞ビザ(3年間のマルチ、90日滞在)や、韓ロ間のノービザ協定により、韓・ロ・中間の往来が増加している。
日本海横断航路については境港~東海~ウラジオストクのDBSクルーズフェリー以外は引き続き定期航路開設に向けての挑戦が行われている。
NEANETの活動状況:
(1) 情報交換会
①2013.5.28 NEANET第10期総会・情報交換会
特別講師:フレルバータル・モンゴル大使
テーマ: 最近のモンゴル情勢と日モ関係-安倍総理の訪問を踏まえて
参加者: 約40名
コメント: 日本とモンゴル間のEPAを締結し、地下資源開発・鉄道や空港建設などの経済
協力を深化促進することが合意された。花田会長との間の相互の人間関係を基
にした、またフレルバータル大使の巧みな日本語によるスピーチは参加者に感銘
を与えた。
プログラム:
1)日本海側各港湾の最近の状況について
(1)境港貿易振興会 「環日本海定期貨客航路の運航状況等について」
(2)京都舞鶴港振興会
(3)北陸AJEC
(4)新潟県港湾振興課
(5)秋田商工会議所 「中露物流調査・経済交流ミッション」
2)北東アジアの最近の状況について
(1)「安倍総理の訪ロと今後の日ロ関係」 副会長 吉田 進
(2)「最近の日中関係」 日中東北開発協会理事長 稲葉健次
2013年日中経済協力会議-於新潟(案)について
(3)「中央アジアへの鉄道輸送」 ERINA名誉研究員 辻 久子
(4)IFNAT(北東アジア国際観光フォーラム)金泉会議
IFNAT日本事務局 愛宕商事 田中湖雄
②2014.1.29 NEANET10年のあゆみ シンポジウム (http://neanet.goraikou.com/)
特別講師:長谷川武 国土交通省大臣官房参事官 国際統括室 交通プロジェクト担当
テーマ: 極東港湾を利用した日露物流の高度化へ向けた取組み
参加者: 約120名
コメント: NEANETの創立10周年にあたり、また北東アジア経済会議で「9本の北東アジア輸送
回廊」提唱後の10年でもあることから、新潟県の協力もあり 「2013北東アジア経済発
展会議in新潟」の関連事業として朱鷺メッセで 「10周年記念のシンポジウム」を開催し
た。 上記の長谷川参事官の特別講演を始め、日本海港湾関係者による対岸交流の
状況の発表や、「北東アジア輸送回廊、これからの10年を展望する」パネルディスカッ
ションが行われた。
新潟経済同友会の池田筆頭代表幹事からは'フェリーの就航'による日本海横断航路
実現に向けた期待が述べられた。栢原座長は<今までの10年が準備期間とするなら、
これからの10年がより重要になる」と締めくくった。
*このシンポジウムの詳細は「NEANETホームページ 2014.2.14」に掲載した。
(参考資料②、ホームページ http://neanet.goraikou.com/ 参照)
プログラムと講演者
総合司会 東山 茂 (NEANET企画主幹)
1. 交流拡大に向けて-NEANETの設立と10年のあゆみ 会長 花田麿公
2.北東アジア輸送回廊のこの10年の変貌
(ERINA特別研究員・新潟国際海運㈱専務取締役) 理事 三橋郁雄
3.日露間交流拡大に向けての国交省の取組み
国土交通省総合政策局 参事官 長谷川 武
4.日本海港湾の対岸交流の状況
(1)秋田港 秋田県商業労働部商業貿易課 貿易振興監 石川 聡
(2)新潟港 新潟県交通政策局 局長 坂井康一
(3)北陸3港 北陸環日本海経済交流促進協議会 (北陸AJEC) 常務理事 寺尾重資
(4)境港 鳥取県商工労働部経済産業総室 課長補佐 山本桂司
5.北東アジア輸送回廊、これからの10年を展望する (パネルディスカッション)
コーディネーター ((公社)日本港湾協会 名誉会長) 理事長 栢原英郎
(1)北東アジアの新しい動き 駐日モンゴル国大使 フレルバータル
(2)観光 観光とカジノ 日本大学講師 佐々木一彰
(3)極東ロシア 資源・エネルギー (ERINA名誉研究員・元理事長)副会長 吉田 進
(4)対岸交流拡大に向けて地元経済界の取組み 新潟経済同友会筆頭代表幹事 池田 弘
(5)新しい日本海時代に向けて 北陸地方整備局 次長 松原 裕
(6)これからの10年に向けての提言 理事長 栢原英郎
(2) NEANETメールニュースの発信
No.41~No.47 1年間に7回のメールニュースを発信した。
(3) NEANETホームページの改善
旧HP http://www17.och.ne.jp/~neanet ホームページビルダー7 9年間実行
新HP http://neanet.goraikou.com/ ホームページビルダー18 プロにより改良('13
(*技術的な問題が生じた為、一時的に中断したが3月に再開。会員の投稿、参画を歓迎。
1/29NEANET10年シンポジウムの記事参照。今後は会員からの参画、PDFによる投稿など
内容の充実に努めたい)
受注活動:
「ロシア極東港湾を介した我が国との交流拡大方策検討業務」の一部
受注先:みなと総合研究財団 (北陸地方整備局)
(注、上記の案件の他に、日本総合研究所からの受注案件があったが、支払い時期が5月下旬
となるため計上を次期に繰り越したが、調査活動は上記案件とほぼ併行して実施した。)
調査対象地域はロシア極東港湾地域(ザルビノ・ウラジオ・ハバロフスク・ナホトカ・ボストチヌイ、
中国東北3省(ハルピン・長春・瀋陽)、モンゴル、ならびに日本海側港湾と多岐に亘り、調査に
あたってはNEANET会員および関連組織の専門家の参加を得て実施した。
また海外調査についてもNEANET海外会員など(ウラジオストク・ウランバートル・ハルピン・長春
瀋陽)のアポイント取得・アテンドの協力を得た。国内調査にも多くの会員からヒアリング助力を得て
調査を実施した。
3.第11期(2014年4月~2015年3月)の事業活動計画:
概況:
2014年度の世界経済は、ロシアによるクリミア半島の併合を契機にしたロシア系住民地域の独立意識の高まり、それに反発する欧米諸国によるロシアへの制裁強化が進展しており、今のところ危機の沈静化の兆しは見えていない。一方、中国の海洋進出が顕著になっている南シナ海、東シナ海においては、南沙・西沙諸島や尖閣諸島での領有権問題が深刻化しており、関係国間の経済関係に大きな影響を与えることが懸念されている。
ロシアは資源エネルギーの市場を欧州からアジア太平洋地域に移す政策を取り始めているが、ウクライナ問題によりアジアシフトが加速されよう。日本としても米国と歩調を取り対ロ制裁に参加せざるを得ないが、プーチン大統領の今秋の訪日への影響が懸念される。日露間は長期的なエネルギー資源供給と輸送インフラの協力や、自動車の輸出・生産、農業や医療などの幅広い分野での協力が現在事務レベルで協議中であり、さらに平和条約締結と北方領土問題の解決に向けた前進が期待されるので、欧米とロシア関係の動きに一層注目する必要がある。
日中韓関係は、最近になり政治関係改善のための閣僚レベルの対話や経済界の訪中が始められている。4月末大邱での3ヶ国環境相会合ではPM2.5の対策や情報共有などへの協力で一致した。中国韓国とも例えば中国における所得格差や環境汚染問題、韓国における安全軽視問題等、深刻な国内問題を抱えており、その解決に向けて日本の培ってきた経験ノウハウが十分貢献できる可能性がある。当NPOとしてはこれを念頭に置き、対岸地域とのより広く深い交流を心がけて参りたい。
北東アジアの経済・NEANETの関心事項:
1. ロシア関係
(1) エネルギー資源
日本の貿易赤字は東日本大震災後の世界市況の上昇と輸入量増大が最大の原因であるが、東北
電力はロシアSUEK社と2014年度に発電用一般炭の価格を前年比15%引き下げに合意した。
2011年の最高値に比べると40%近い下げとのこと。SUEKは今年430万トン(前年比8%増)を計
画し、ワニノ・ムチケ湾港の拡張工事を進めている。日本全体の輸入量では合計840万トン。
(参考資料②)
ロシア極東の各港湾は競って拡張・新設の計画を立てており、日本の資本参加を含めた協力を望ん
でいる。 NEANETとしてもこれらの情報を収集・調査業務の協力につなげたい。
(2) 穀物ターミナル
SUMMAグループはザルビノ港にUNITED GRAIN社と共に飼料用小麦1千万トンの穀物ターミナル建
設の計画(2015年目標)を持っているが、これの推移状況をフォローする。
(3) 輸送インフラ
「ロシア極東地域における日ロ運輸協力」について情報収集・調査案件などの協力可能性を探る。
2. 日本海横断航路の実現に向けた協力
(1) 新潟県・吉林省が計画している日本海横断航路の実現に向けての協力
(2) 輸出入貨物ポテンシャルに関する調査協力
3. モンゴルの石炭輸送ルート
(1) モンゴル鉄道はタバントルゴイ~クート~チョイバルサン~エレンシャブ(加えてクート~ビチット)間
鉄道のF/S調査を日本工営が実施中。
(2) チョイバルサン~アルシャン間の「両山鉄道」は、図們江ルートにつないで羅津港に出る或いは途中
から丹東へ出ることが検討されている。
4. IFNAT「北東アジア国際観光フォーラム」in北九州開催への協力 【資料7】
今年第10回のIFNATが8月21・22日北九州市で開催されることになった。NEANETと相互会員
であるNPO「日中韓観光協力機構(JCKTCO)」が協力団体として協力。
NEANET広報活動:
①「NEANETメールニュース」及び ②「NEANETホームページ」の内容を充実し、会員間の情報共有に
向けてより大きな貢献が出来るようにする。記事の投稿などで参加をしていただきたい。
4.第10期の収支報告:
総会においては、活動計算書(損益計算書)・貸借対照表・財産目録・今期収支予算書の承認を得
ましたが、ここでは割愛します。 詳細が必要の場合には事務局へお問合せ下さい。
[情報交換会の部]
1.特別講演: 講 師 長谷川 武様 国土交通省 大臣官房参事官 国際統括室 交通プオロジェクト担当
テーマ 「極東・シベリア地域における国土交通省の取組み」
2.全般状況:
(1)ロシア極東の運輸インフラについて ERINA名誉研究員 辻 久子
(2)最近の日中関係について 日本国際貿易推進協会 安田真人
(3)最近の日ロ関係について NEANET副会長 吉田 進
(4)お知らせ
①図們江地域視察団 日中東北開発協会 後藤正博
②北東アジア国際観光フォーラムin北九州 IFNAT日本実行委員会 鈴木伸作
3.北東アジアの対岸交流の状況について
(1)「北東アジア交流白書(仮称)」について、主旨説明 NEANET 東山 茂
(2)資料の内容紹介
①2013年日本海側自治体の対岸交流のまとめ(交流実績一覧表)
②寄稿文集
(3)各地の対岸交流の状況につき発表、ならびに寄稿者からの発言
各地関係者: 秋田・新潟・北陸3県・京都舞鶴・境港
(4)今後のまとめ方についての討議
*討議の内容については省略。 発表資料等については「北東アジア交流白書(平成25年度)」に掲載しています。